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コラム

工場でIoTが注目される背景②

2019年04月24日
工場でIoTが注目される背景

日本で問題となっている社会的課題のひとつに、高度成長期に作られたインフラの老朽化とその整備が挙げられます。人手不足から将来の人材に技術継承がうまくつながらない、膨大なインフラの保守に手が回らないなどの問題が、今後大きく日本経済にのしかかってきます。
それらを背景に製造の現場である工場においてIoTが注目されています。工場を支えるインフラをIoT化し、また工場をスマート工場化することで、より効率的な管理や生産性の向上を行うという目的が見られます。今回は、工場のインフラにおいてIoTに期待される役割をご紹介します。

インフラの老朽化

道路、上下水道、ダムなどのインフラは産業や生活の基盤を支えています。しかし多くの現場において、インフラの老朽化が大きな問題となっています。1960~70年代に建設されたインフラの中には築50年を超えて使用されているものもあり、老朽化によるインフラの破損や倒壊が年々増加している傾向にあります。

最前線の現場である製造工場においてもインフラの老朽化は見過ごせない課題です。特に工場におけるインフラは生産性に直結している場合が少なくないため、老朽化によってエネルギーやネットワークなどのインフラが使用不能になった場合は、まさに死活問題といえます。そのため、経年劣化による素材の破断や鉄製部品の腐食など、老朽化につながるリスクを常に把握する必要があるのです。

求められる効率的なインフラ運用

インフラの老朽化は喫緊の課題ですが、日本はこれから少子高齢化による人材不足から、思うようなインフラの新設・補修ができない状況です。実はインフラの保守には経験値の高い技術者が必要なのです。

このような優秀な人材に代わって、IoTを活用した解決策が模索されています。老朽化したインフラを常時監視して問題点を早期発見し、最適なタイミングで必要なメンテナンスを実施することが重要ですが、この課題にモニタリング技術のIoT化で対応しようという試みがなされています。

内閣府では2017年に「SIP・戦略的イノベーション創造プログラム」を発表しています。これはインフラ維持管理やマネジメントを技術イノベーションで解決していこうという意欲的な計画で、まさにIoTやAIなどを駆使し、インフラ対策にも最新のテクノロジーを活用しようというものです。

また同時に、インフラに対してセキュリティ技術を用いて、その基盤を強化する目的も込められています。今後のインフラモニタリングの市場規模も拡大していくことが予想されており、矢野経済研究所によると、東京オリンピックまでに橋梁で600憶円、トンネルで180憶円のモニタリング市場があると試算されています。

IoTに期待される役割

また、経済産業省ではIoTやAIなどで起こる変革を「第4次産業革命」と捉え、産業支援に注力している状況が背景にあり、大手企業でもインフラ分野でのIoT化が急がれています。

例えば三菱総合研究所、日立製作所、NTTデータの三者は経済産業省の「平成28年度 IoT推進のための社会システム推進事業」を受け、スマート工場実証実験を行っています。モノのデジタル化およびネットワーク化を推進し、工場においても熟練工の暗黙知を、誰でもが活用できる形式知化することも取り組んでいます。

IoTの導入例としては、工場内に取り付けた各種センサーによる常時監視、センサーが計測したデータのリアルタイムで送信、データの収集と解析による劣化情報の把握や破損箇所の早期発見、故障時期の予測などが挙げられます。
また、工場内に設置されたIoTの個別管理は、ネットワーク上の共通プラットフォームで一元的に管理することが可能なため、複数システムを導入する必要はありません。

このようにIoTを導入することにより、マンパワーに頼らない監視や管理が期待されているのです。

まとめ

工場においてはインフラの老朽化によるリスクが問題になっていますが、IoTを導入することでインフラの適切な監視と破損箇所の早期発見が期待できます。
また、既存のインフラにIoTを導入することは工場の今を守るだけでなく、ノウハウの蓄積やIoTモデルの活用によって、より効率的な管理や生産性の向上が実現されるでしょう。

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