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コラム

IoT導入にあたっての課題

2019年08月30日
IoT導入にあたっての課題

平成30年度に上梓された総務省の情報通信白書に、ICTと人口減少、そして持続的成長をテーマにした報告があります。つまり人口減少時代をIoT、ICTを活用することで、国内の持続的成長を可能にできるのではないか、と提言しているのです。

IoTの導入にはさまざまな課題がありますが、今後の日本はそれをクリアし、継続した成長を実現していく必要があります。

人材の不足

日本の人口は既に減少傾向が始まっており、2050年には1億人を割る見通しです。(国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成 29 年推計))

現在でもすでに高齢化が進み、若年層の生産年齢人口の減少が明確です。そのため人材不足が社会的にも不安視されています。
国内の人口減こそIoTを導入する理由なのですが、しかし一方で人材不足がIoT導入のリスクとなっている点は見落とされているのではないでしょうか。今の日本にはIT系人材が不足していますが、中でもAIの専門家や技術者が世界と比べると圧倒的に不足しています。IoTに関してはThing、つまりモノに関するエンジニアは国内に多く存在しますが、クロステックな知見を持った人材は不足しています。IoTに知見と経験を持った人材の育成が待たれているのです。

乗っ取りリスク

IoTの特徴は、ネットワークを活用することで、人を介さずに遠隔操作や自動操作が可能な点です。ネットワークについてはインターネットや無線でのアクセスが不可欠であり、その点でハッキングの危険性と皆無ではありません。

580億円もの仮想通貨が流出した「コインチェック事件」はまだ記憶にある人も多いかと思います。この仮想通貨流出もインターネットに接続したサーバーがハッキングされたためですが、同様にIoTもネットワークに繋がっている以上、不正なアクセスの可能性が考えられます。

さらに指摘すると、IoTは単にサーバーと端末がネットで繋がっているだけでなく、端末があらゆるモノに広がっているため、一度ハッキングされるとその影響は大きなものがあります。
現在のパソコンに対するセキュリティ以上に、IoTに適したセキュリティ技術が必要となるのです。

ICTのポテンシャルを引き出す組織とは

冒頭に記載した平成30年度の情報通信白書に「ICTのポテンシャルを引き出す組織改革」という一節があります。ここでいうICTとは、AI(人工知能)とIoTを含む「Information and Communication Technology」(情報通信技術)を指します。

白書ではICTの実現、またはその効果を発揮するためには、まず経営者層が決断するべきだと指摘しています。トップダウンの強力な推進体制が必要であると強く断言しています。

BBC(英国公共放送)では「デジタル・メディア・イニシアティブ」というICTによる事業を進めていましたが、2013年にその廃止が決定され、実に150憶円相当の資金が無駄となりました。このBBCによるICTの失敗の原因のひとつとして、リーダーの不在が挙げられます。技術を理解できるCIO(最高情報技術責任者)やCDO(最高デジタル責任者)の存在がいかに重要であるか、この白書では指摘しています。

日本の産業は現場力が高いといわれていますが、反面現場の保守性も高いのではないでしょうか。従来のモノに対して高い技術力を誇っている人材が、ICT導入へのハードルになっていることも多いようです。現場部門と情報技術部門が対立することなく融合することで、ICTへのポテンシャルが引き出されるのです。これらの提言は真摯に耳を傾ける必要があります。

まとめ

IoT導入のリスクや課題を見てきましたが、どのように感じられたでしょうか。多くの人はIoT導入に対して否定的な考えはなく、むしろその発展に社会の希望を持っていると思われます。独立行政法人経済産業研究所の調査によると、多くの企業がIoT導入による生産性の工場を実感しており、さらに導入展開を進めていく意思を持っているとされています。

国内の経済規模が将来的に縮小する傾向を見せている現在、IoTやAIの導入には、国勢の持続性可能が期待できます。それだけに、さまざまな課題があっても乗り越える必要があります。また、課題を解決していくことでさらなる発展が開けるともいえるのではないでしょうか。

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