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コラム

IoTがもたらす働き方改革

2019年10月29日
IoTがもたらす働き方改革

ドイツでは「インダストリー4.0」という呼び名でIoTの製造業改革が進んでいます。官民一体で進められている「インダストリー4.0」は産業高度化の見本として各国でも注目されており、日本においても製造業、エネルギー、物流の現場で働き方を含めて産業構造の最適化が求められているのです。

その要因としては、日本の人口減から来る人手不足という深刻な課題が挙げられます。いま、日本の製造現場では何が起きているのでしょうか。

高止まりする有効求人倍率と増加傾向の人手不足倒産

全国のハローワーク(公共職業安定所)では求人や求職の状況についてとりまとめており、毎月厚生労働省がその結果を公表しています。そのデータを見ると、平成30年以降の有効求人倍率は1.6倍前後を示し、高止まりで推移しているのです。都道府県別でみても福井県の有効求人倍率は2.2倍を筆頭に高水準を維持し、今のところ低下する様子はありません。

今や日本は空前の人手不足が続いている状況です。国内における人手不足は日本の経済に重くのしかかっており、人手不足から営業継続を諦める企業も増えつつあります。帝国データバンクによると、2018年の調査では正社員が不足する企業は過半数を占めているというのが現状です。

その結果、「人手不足倒産」という現象が起こっています。従業員不足、採用難を原因として収益が悪化し、倒産にまで至るケースが増えているのです。2018年の人手不足倒産は、その負債総額が実に220億円以上にまで上っています。

IoTの導入により人、機械で分担

ここ数年でIoTの導入は国内の工場に深く浸透しています。例えば2016年の経産省による調査結果を見ると、工場内でデータ収集を行っている企業は約7割に上ります。しかし、データを活用した「見える化」の導入は2割に留まっています。

参照:第116回中小製造業設備投資動向調査

業務や生産などの工程が「見える化」されることで、社内の業務内容見直しに大きく寄与します。この「見える化」の導入は、経営者のみならず、現場の作業員、特にキャリアや経験の少ない人員にとっても大きな影響があります。課題の認識、問題解決の道筋が理解しやすいためです。

かつて世界が注目したトヨタの「カイゼン」(現場が主体となって継続した改善を行う活動)はヒューマンパワーを駆使したものですが、IoTではそこに機械が連動します。IoTを使った業務の見直しは、機械と人間の作業分担をスムーズにします。

オムロン株式会社では製造品質のビッグデータを分析し、東芝グループの協力を得て「事象パターン分析」を行いました。その結果、人間では見つけることが難しい不良品の相関を「見える化」できるようになったのです。人間では不可能な業務をIoT活用で機械に委ねることが可能になり、生産性の向上が図られた事例として注目されるべきケースです。

また、東京大学の越塚教授は「機械に任せるべき仕事」と「人が行う仕事」を正しく認識することが重要だと提言しています。このように人と機械が得意な分野を分担しながら進める業務体制こそ、人口減という課題を抱える日本国内の産業にとって大切なことなのです。

高度成長期から今までのような日本型のリクルーティングシステムでは、人手不足になっている現在、うまく成果が出せなくなっています。このタイミングだからこそ、企業の人材採用活動ではIoTを有効に活用した「働き方改革」が大切なのです。

まとめ

製造現場で起きつつあるIoT導入による働き方改革は、ここ数年で大きく進展しています。製造現場をリードしていた「職人技」と、現場力を発揮した「カイゼン」が国内の経済を発展させてきましたが、今やそこにIoTが次の波を起こしています。 自社の製造現場の改革に、ぜひIoTを活用した「働き方改革」を検討してください。

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