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コラム

競合に負けないためのIoT導入例

2020年04月20日
競合に負けないためのIoT導入例

デジタル化の波は劇的に各業種の在り方を変えています。アメリカ商務省は1998年に「従来の経済学からデジタル経済への突入」という予測を報告書としてまとめています。それから20年以上が経った現在、まさにデジタル経済の予測通り、景気拡大と低インフレという今までにない経済状態が出現しています。

低インフレ下の時代では、どのようにして競合他社と差別化を図ったらよいのでしょうか。その際のキーワードになるのが「イノベーション」です。今回は、イノベーションを通して競合を勝ち抜いたある企業の事例をご紹介します。

【課題】コストに見合うための収益確保が困難

ここで取り上げる企業は、大手重電機メーカーの取引先のひとつです。重電機関係は発電所や鉄道、上下水道まで、日本のインフラ産業の要といえるものが多くあります。その重電機産業の中でも金属塗装を専門に事業を展開している会社です。
金属塗装という特別な分野に特化していることから、決してすそ野の広い業種とは言えません。重電機メーカーからはコスト面でプレッシャーがかかることもあり、常に複数社と競合しています。競合他社との価格競争は、収益を圧迫している大きな原因のひとつです。

また、価格競争だけでなく人材面での課題も多い業種です。特殊な業種であるため、ベテラン職人の技と経験に頼る部分も多く、人材の育成は簡単には実現できないのです。少子高齢化による人材難のため、技術やノウハウの継承も難しい状況になっています。

このように、価格競争と人材難という2つの大きな課題に向き合いながら、コストに見合った収益確保が喫緊の課題でした。

IoTを3つのステップで導入

では、どのようにしてこの課題をクリアしたのでしょうか。若くして後継者となった現社長は、大手電機メーカーのシステムエンジニアを経験していたため、IT系の動向には先見の明があったようです。

そこで、トップダウンの形で金属塗装という特殊な業種に、IoTを導入していくことになりました。バックオフィスのデジタル化や現場での作業を数値化し、生産性の向上と職人技に依存しない業務フローを実現しています。

特筆すべきなのはその改革を3つのステップを踏んで実現している点です。

第1ステップは事務作業のデジタル化です。バックオフィス(事務部門)から紙の資料をデジタルに転換しました。最初の一歩として事務処理のデジタル化を選んだのは、確かに合理的な判断であったと言えます。事務処理とデジタル化は親和性が高いからです。

第2ステップは生産管理システムの導入です。生産管理には売上情報や工程進捗情報など、販売管理から現場管理まで幅広く経営上の情報が集積されています。これは先にバックオフィスのデジタル化を行ったからこそ、生産管理への展開が成功したと言えるでしょう。

第3ステップでは、さらに金属塗装現場の自動化へと発展させました。生産管理を含めてデジタルシステムを活用し、現場のデータ蓄積からIoT活用へと進展したのです。それによって、熟練技術者に頼らない金属塗装自動化やリアルタイムでの遠隔操作が可能となっています。

まとめ

今回取り上げた企業では、さらにIoT化をより進めた結果、同社のシステムを取引先と共有するに至っています。進捗報告をする代わりに、進捗情報や工程管理情報を共有しているのです。報告する負担を削減できるだけでなく、取引先を自らの土俵に引っ張ることで、より強い連携が実現できるまでになっています。

さらに同社では、そのノウハウやシステムそのものを販売しています。IoTを活用し、製造業から一歩進んで情報業へ展開しているのですが、これこそIoT時代のひとつの方向と言えるでしょう。

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